感じるAI

人間とコンピュータ(機械)の違いといった場合、よく「人間は感じることができる」と言われます。わたしたちが「感じる」ものは何かと考えると、それは、分かるけれど、うまく言葉にできない印象や感覚のことです。それは「クオリア」と呼ばれたりします。

デジタルクオリア

ここまでで紹介したように現在の AI は、見たり理解したりできます。一方、そこで使われている深層学習という技術には、実現された機能がどのような仕組みなのかを説明することが困難である(ブラックボックスである)という批判があります。しかし見方を変えると、実は人が、言葉には出来ないけど感じる、という状況によく似ています。

このアイデアをもとに構成した、AI 社員の感じている「クオリア」をデジタルクオリアとして定義し、 AI 社員の感じている質感をコンピュータの機能として応用したのがナッジです。このデジタルクオリアを通じて、人とコンピュータがスムーズに相互にコミュニケーションできるようになってきました。ZENKEI の「AI 社員」は、日々、どんどん生身の人間に近づいています。

ナッジ

人間とコンピュータの違いについて、みなさんが引越しで部屋探しする状況を考えてみてください。スマホで不動産ポータルサイトに、最寄りの駅名と希望の間取り、家賃を入れて検索するでしょう。その後、気に入った物件がある不動産屋さんの店舗に行くでしょう。そこで店員さんと喋りながら、もしかしたら検索には引っかからなかったけど自分の希望にフィットする、知らない物件が出てこないかな、と期待しませんか?

「セレンディピティ」という言葉があります。偶然の出会いとか、予想しなかった幸運とか、そういう意味で使われます。検索条件に自分の希望を入れても、その条件にマッチした物件しか出てこないでしょうが、街の不動産屋さんとちょっとした雑談から、時として思いがけない物件が見つかることがあるかもしれません。

先ほど紹介した「デジタルクオリア」を活用することで、この「セレンディピティ」が実現されます。それが ZENKEI ナッジです。

一例として、旧来の不動産ポータルに多く見られる「検索」インターフェイスに、デジタルクオリアを持ち込むことで、ユーザーにセレンディピティ体験を提供した「ナッジ・インターフェイス」を紹介します。

ここで最初はいつも通りユーザーは目的の不動産物件に対する検索条件を指定します。その結果が仮想的な空間にボールとして表現されます。ここで検索条件にフィットした物件がハイライトされますが、同時に、厳密には検索条件にフィットしない物件も示されています。ご覧のように、ハイライトされた物件の周辺にも検索から外れた物件が見つかります。これらの物件がデジタルクオリアによってもたらされたセレンディピティ、つまり、通常の不動産検索では出会うことのなかった、思いがけない物件です。

※デジタルクオリアについては、こちらのページでもメタバースのPoCと共に詳細をご紹介しています。

まとめ

このように、現在の ZENKEI の育てている「AI 社員」は、見て、理解して、感じることができるようになってきました。「AI 社員」は、人と同じで、完成はありません。経験を積めば積むほど成長していきます。 ZENKEI のシステムを導入したお客様の実際の情報をもとに、日々、継続的に発展していきます。

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